SiCキャリアダイナミスクス 紹介

SiCにおけるキャリアダイナミクス

 炭化珪素(SiC)はシリコン原子と炭素原子から成り立つ250以上もの多様な結晶構造(ポリタイプ)をもつ物質であり、SiCポリタイプの系統的な 物性研究は電子-格子相互作用などを議論するうえで非常に興味深い。 また、SiCはバンドギャップが約3eV以上と大きいことから送電ロスを低減することの出来る高耐圧デバイスなどへの応用が 非常に期待されている物質でもある。

そこで当研究室ではSiCにおける電子緩和過程を実時間で観測するため、 伝導帯間遷移を用いた過渡吸収分光測定を提案し、チタンサファイア再生増幅器からの 強力なフェムト秒パルスを用いて生成させた白色光をプローブとしたフェムト秒過渡吸収分光系を構築した。 これはいわばフェムト秒のフラッシュであり、これによって可視域内の任意の波長におけるキャリア ダイナミクスの観測が可能になった。このシステムを用いることでSiCにおける超高速キャリアダイナミクスの観測に初めて成功し、 ポリタイプ依存性に関する議論から半導体における電子-格子相互作用に関する多くの知見を得ることが出来た。

SiC過渡吸収
光学系
フェムト秒過渡吸収分光法による測定結果
1kHzチタンサファイア再生増幅システム
観測された6H-SiCの電子緩和過程。この実験により6H-SiCにおける伝導帯間電子緩和時間は約1.25psであることが分かった。
非常に強力なフェムト秒パルスを発生することの出来る装置。このパルスを用いて種々の非線形光学効果を起こさせる。

T. Tomita, S. Saito, T. Suemoto, H. Harima, and S. Nakashima; Journal of the Physical Society of Japan, Vol.73, pp.2554-2561 (2004)